なぜPinnacle P1を選んだのかを説明する前に、今回新たに筆者がイヤフォンを購入するに当たってあらかじめ考慮した点を列挙してみよう。
(1)断線した従来使用品と同程度の価格帯 従来使用品の代替として考えると、近い価格帯(約3万円)のものを探すのが妥当と思えた。イヤフォンが使えないと録音データの聞き取りが必要な仕事にも影響があるので、とりあえずの間に合わせで約2,500円のイヤフォンも購入してみたけれど、やはり値段相応の音質だったため、音楽鑑賞用途では大幅なクラスダウンは避けるのが無難と考えるに至った。
(2)できればリケーブル対応 将来的にはリケーブルの楽しさも味わってみたい。音質を変えられるうえに、今回のように万が一断線した時もケーブル交換で対処できるメリットがある。また、ファッション的な意味でも魅力はあるし、対応するプレーヤーやアンプも用意すればバランス接続という道も開ける。ラインナップの多いMMCX対応品を狙いたいところだが、リケーブル対応は優先度としてはそれほど高く設定していなかった。
(3)できればハイレゾ対応 ハイレゾ音源を聞くこともあるため、ハイレゾに相当する再生周波数帯をカバーしている製品がベスト。とはいえ、再生周波数帯が広ければ広いほど高音質で聞けるというわけでもない。すでにハイレゾ対応のヘッドフォン(ソニー MDR-Z7)を所有しているので、イヤフォンでのハイレゾ対応を必須とせず、それよりは移動中にも頻繁に使うことを考慮して、携帯時の使い勝手や遮音性などを気にしたい。
これらを元にネット上の情報である程度候補を絞り、実店舗でいくつか試聴して決めることにする(この段階ではまだPinnacle P1は候補に挙がっていない)。というわけで、ひとまず事前に目を付けていた製品をいくつか店舗で試聴してみるも、どれも想像していた音と違う。こういった買い物ではよくあることだが、そのうち狙いの価格帯とは異なる製品にも手を出し始めて泥沼にはまりそうに……。ところが、ふと気まぐれに聞いてみたPinnacle P1で「おや?」と思った。
試聴時にちょっとした違いを感じたPinnacle P1