パソコンがオーバーヒートしがち、という悩みを抱えている人にとっては、その兆候はもうおなじみでしょう。
ジェットエンジンのように爆音で回るファン。熱すぎて、とても膝の上に載せていられない本体。
マシンがもはや死に瀕しているという、あの感じです。
繰り返し起きるオーバーヒートは、避けられないのでしょうか?
そんなことはありません。これからご紹介する方法を用いれば、熱くなったパソコンをクールダウンすることができるんです。
オーバーヒートは、単なる「快適さ」の問題ではありません。
もしマシンが熱くなりすぎたら、性能が低下する場合もあり得ますが、それは仕方ないですよね。
それは、コンピューターの「頭脳」のような働きをするCPUや、コンピューターのグラフィクスをコントロールするチップであるGPUが、過熱しすぎないように設計されているからです。
もしこれらのプロセッサーがとめどなく熱くなるようになっていたら、チップは回復不能なレベルまで損傷を受けたり、破壊されたりしてしまうでしょう。
そんなわけで、コンポーネントが一定の温度に達したら(通常は摂氏90度以上)、この高温状態を解消するために、ピークスピードとピークパフォーマンスのスローダウンが始まります。
これは、パーツの保護には非常に有効です。でなければ、黒こげになってしまうのですから。けれどもそのせいで、あなたの仕事がはかどらなくなってしまうこともたしかです。
メールを送ったり、何となくウェブを閲覧したりしているだけなら、スローダウンが起きても、さほど気にならないかもしれません。でも、スピード勝負の場面では、このスローダウンに苦しめられる可能性があります。
方法はたくさんあります。すべての方法が必ずしも、どのパソコンにとっても有効だとは限りませんが、これらの手順を踏めば、パソコンの温度を下げながら、全体的なパフォーマンスを高めることができます。
多くのパソコンに用いられている、コンポーネントの過熱を防ぐ方法のひとつが「ファン」です。
ファンがフル回転し始めると、とんでもなくうるさくなるモデルもあります。それは、室内の冷たい空気を内部に取り込んで、マシン内の熱い空気を外に送り出そうとしているからです。
しかし、ファンにホコリがたまってくると、やがては、パソコン内の空気を入れ替えるファンの性能が落ちてきます。そうなると、いくらファンがフル回転してもコンポーネントは冷えないので、マシンは熱を下げようとしてスローダウンすることになるのです。
まずは、パソコンの排気口をエアダスターで掃除しましょう。チリやホコリがそこまでひどくないときは、この「非侵襲的」な方法がおすすめです。うまくいけば、ファンがすぐに冷却能力を取り戻してくれます。
それでも問題が解消されないとき、さらに、パソコンが簡単に本体を開けられるタイプなら、ファンそのものを掃除しましょう。中を開けたら、ブラシやエアダスター、掃除機を使って、チリやホコリを「やさしく」取り除いてください。
正しい開け方がわからなくても、ネット検索すれば、お使いのモデルの開け方を説明してくれるチュートリアルが見つかるでしょう。
もちろん、すべてのパソコンにファンが搭載されているわけではありません。MacBook AirやChromebookをはじめとする、ファン冷却機能がついていない薄型軽量パソコンをお使いの人は、これからご紹介するほかの方法を試してみましょう。
パソコンが最適なパフォーマンスを発揮するためには、冷たい平面の上に置かれる必要があります。ファン付きモデルの場合は、ファンが空気を流れやすくしますが、冷たい平面に触れていると、熱が発散されやすくなるのです。
例えば、シーツや枕、カーペットなど、表面がデコボコした柔らかい素材は、熱のコントロールに適していません。柔らかい素材は、排気口を塞ぎ、マシン内の空気を入れ替えるファンの働きを妨げることがあります。
また、熱を分散させにくく、熱をマシン内にこもらせてしまうでしょう。
パソコンは、テーブルやカウンター、デスクなど、堅い表面に載せて使うのが基本です。あるいは、スタンドや冷却パッドを使って、空気を流れやすくしてもいいですね。
サーマルペースト(プロセッサとヒートシンクの間に塗布されるペースト)は、CPUとGPUの熱をより効率よくヒートシンクへ移して、内部が冷えた状態を維持します。一方、サーマルパッドには、熱をシートシンクから外へ逃す働きが。
従ってこのふたつを併用すると、オーバーヒート防止効果があります。
まずはサーマルペーストについて説明しましょう。サーマルペーストは、どのパソコンでも最初から塗布されていますが、その効果は徐々に弱まっていきます。
そればかりか、標準装備のサーマルペーストが必ずしもベストとは言えず、うまく塗られているとも限りません。その場合は、最初から問題を抱え込んでいるも同然です。
とはいえ、サーマルペーストの塗り直しは簡単ではありません。
内部をいじるのに慣れていないなら、なおさらです。塗り直す場合には、パソコンを開けてCPUとGPUの場所を確認し、古いサーマルペーストをまず取り除いてからにしてください。
サーマルペーストは、CPUとGPUを搭載したデバイスなら、ほとんど何にでも塗ることができます。ただし、デバイスが開けにくいと、その手順もそれだけ複雑になるでしょう。
開けやすいように設計されている場合もありますが、異常なほど開けにくいものもあります。その代表がMacBookです。さらに悪いことに、ほとんどのMacBookは、CPUとGPUがバックプレートに背中を向けてしまっているのです。
そのため、マシン全体をばらしてからボードをひっくり返さないと、CPUとGPUにはたどり着けません。
多くの場合は、サーマルパッドを貼るほうがずっと簡単です。Linus Tech Tipsさんによれば、ファンのないM1 MacBook Airのヒートシンクにサーマルパッドを貼っただけで、パフォーマンスが向上したそう。
これによって、ベースの温度は大幅に上昇しましたが、ストレステストでは、このM1 MacBook Airが、ファン冷却システムつきのM1 MacBook Proを打ち負かしたとのことです。
サーマルパッドかサーマルペーストのいずれか一方にするにせよ、両方を試すにせよ、修理が必要な場合と同じように、お使いのモデルのチュートリアルを確認しておくのがいちばんですよね。
私たちは当然のように、複数のことを同時進行させて、コンピューターに無理をさせています。
この記事で紹介した方法を使えば、デバイスのパフォーマンスが向上し、より多くのアプリを同時に実行できるようになる可能性がでてきました。
ただし、たとえこれらの方法を用いても、実行中のプログラムがあまりにも多すぎる場合は、パソコンがいつ対処不能になってもおかしくはありません。
たとえば、Chromeでたくさんのタブを開きっぱなしにしておく人は、本当に必要なものだけを残して、あとは閉じるようにしてください。
仕事中に、ゲーム「The Sims」をバックグラウンドで起動したままにしておく必要がないなら、プレイを再開するまでは閉じておきましょう。
動画を編集したいけど、オーバーヒートしてスローダウンが起きているなら、編集に不要なアプリはすべて閉じたほうがいいですね。
長く使っているパソコンであればなおのこと、使い方に気をつけてください。そうすれば、オーバーヒートを防げますよ。