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韓国・文政権で発足の捜査機関、記者や野党議員らの個人情報を収集:朝日新聞デジタル

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 韓国で今年1月に発足した捜査機関「高位公職者犯罪捜査処」(公捜処)が、報道機関の記者や野党国会議員、法曹関係者の個人情報を大々的に収集していると、韓国メディアが相次いで報じた。携帯電話を契約する通信会社に照会する形で、文在寅(ムンジェイン)政権や公捜処に批判的な報道をした記者が多く含まれているという。

 韓国メディアは、捜査目的と思われない情報収集だとして、「言論・政治弾圧だ」と批判を強めている。

 公捜処は文政権の検察改革で発足し、政治家や政府高官、司法関係者らを対象とする捜査権が移された。記者は捜査対象外だ。

 保守系大手紙の朝鮮日報によると、公捜処は韓国の報道機関などの約120人の記者を対象に、通信会社に住民登録番号や住所などを照会していた。裁判官や検事、弁護士らで構成する刑事訴訟法学会の会員約20人も対象になった。学会は検察改革に反対してきた。

 保守系最大野党「国民の力」によると、少なくとも78人の所属国会議員の個人情報が通信会社を通じて公捜処に収集されていた。

 韓国では電気通信事業法に基づき、捜査機関が裁判所の許可なしに、通信会社から対象者の氏名、住民登録番号、住所など個人情報を取得できる。携帯電話の契約者は個人情報保護法により、捜査機関からの照会の記録開示を通信会社に求める権利が保障される。記者や野党議員らはこの制度で照会の有無を調べた。

 通話履歴や相手の電話番号などより詳細な情報を照会する場合は、通信秘密保護法に基づき裁判所に令状請求しなければならない。朝鮮日報によると、公捜処は少なくとも記者3人に対し、令状発付を受けて通信会社から通話などの履歴情報を得ていた。3人は公捜処に批判的な記事を書いたことがあった。

 公捜処は24日、「事件の被疑者の通話相手を確認するため、記者など一般人の通信資料の確認が不可避だった」として、捜査は適法とするコメントを発表。一方で「世論の叱責(しっせき)を受けて非常に遺憾。捜査業務の改善に努める」としていた。

朝日新聞ソウル支局の記者も対象に

 公捜処は、朝日新聞ソウル支局の韓国人現地記者1人の個人情報も収集していた。記者が、過去1年間での捜査機関からの個人情報照会の有無について20日に通信会社に開示を申請し、26日に結果の通知を受けた。

 通知書によると、公捜処が7月と8月の計2回、記者の名前や住民登録番号、住所、携帯電話加入日などを照会した。理由については「電気通信事業法第83条により、裁判や捜査、刑の執行または国家安全保障に危害を及ぼすことを防ぐための情報収集」とあった。

 通話履歴や通話相手の照会もあったかは不明だ。

朝日新聞社広報部のコメント 

 韓国の高位公職者犯罪捜査処に対し、記者の個人情報を照会した理由と経緯を明らかにするように求めています。