海外&国内SEO情報ウォッチのコーナーも、今回が2021年最後の投稿だ。このコラムで今年取り上げたグーグルSEO記事やWeb担当者向け記事から、SEOに興味がある人なら押さえておきたい10大トピックをピックアップする。
鈴木謙一が選ぶ、2020年のグーグルSEO総ざらい10大トピック2021年もこのコラムをご愛読いただき、ありがとうございました。2022年の初回は1月7日の予定です。来年もご愛読よろしくお願いします。
みなさんが健康に2022年を迎え、来年もステキなSEOライフを送れますように、🎅素敵なクリスマス🎄と🎴良いお年🎍を!
この記事の目次:2021年の重大SEOトピックのトップで紹介するのはページエクスペリエンス アップデートだ。このアップデートは、これまでもランキング要因だった次の4要因に、
さらにコア ウェブ バイタルを追加して「ページエクスペリエンス シグナル」としてランキング要因に組み込むものだ。
Google検索セントラルの図をもとに編集部で作成コア ウェブ バイタルの3要素「LCP(最大コンテンツの描画)」「FID(初回入力遅延)」「CLS(累積レイアウト変更)」アップデートの展開は6月中旬が始まり、8月末に完了した。
ランキングにおいてグーグルが最も重視するのは、依然としてクエリとの関連性とコンテンツの品質だ。それと比べると影響度が低いページ エクスペリエンス シグナルでは、時間をかけて徐々に展開したことも手伝ってか、目立つような順位変動は起きなかった。それでも、ページエクスペリエンス アップデートによるものと思われる順位変動が発生していたことを示す調査データも出ている。軽視すべきではないことは確かだ。
もっとも、ユーザー体験の改善を「多少なりともランキングに影響するから」という理由でしぶしぶ実行するなら、それは正しい姿勢だとは言えない。ユーザー体験を改善すれば、最終的にはビジネス成果にポジティブな成果をもたらす。たとえば次のようなものだ:
ページエクスペリエンス シグナルは2022年2月からはPC検索でもランキング要因になる。コア ウェブ バイタルに限らずに、ユーザー体験全般の改善を 2022 年も最優先事項に設定したい。
(画像は6月4日記事より)★★★★★2021年は、ランキングに影響を与えるアップデートが例年よりも多い年だったと思われる(後述)。しかし、個人的に最もインパクトがあったのは、検索結果ページに表示するタイトルリンク生成に関わるアップデートだ。
一般的には、タイトルリンクには、HTMLの 要素(タグ)が用いられる。だが必ずということではなく、グーグルが独自にタイトルリンクを生成することもある。このタイトルリンク生成のアルゴリズムをグーグルが大幅に変更した。具体的には、タイトルリンクに
以外の要素をさらに積極的に使うようになったのだ。たとえば、次のような要素からタイトルリンクを生成するようになった:
ところが、この更新はウェブ担当者にはすこぶる評判が悪かった。入念に作り込んだはずの タグを、意図せぬ形にグーグルが書き換えてしまうからだ。改善ではなく改悪とさえみなされた。
多くの(否定的な?)フィードバックを受けて、1か月もしないうちにグーグルは調整を加えた。以前よりは“マシ”になったようだが、それでも納得し難いタイトルリンクは残っている。
たとえば次のようなものだ。これは筆者の個人ブログのサイト名「海外SEO情報ブログ」で検索したときに、検索結果トップに出てくるタイトルリンクだ(12月21日時点)。サイト名の前に「記事の続きを読む」が付け加えられている(このページのtitleタグにはない)。トップページに10個ほどあるアンカーテキストを拾っているようだ。必要な処理だとはとても思えない。
筆者の個人ブログ関連の奇妙なタイトルリンクの例とはいえ、グーグルの言い分もわからないではない。ウェブには、不適切な タグを設定しているページが数多くあるということなので、そうしたページに関してはグーグルがタイトルリンクを書き換えれば検索ユーザーの利益になるのは間違いない。
それでも、我々が考え抜いて作ったタイトルを不用意に変えられるのは納得いかないというのが正直な感想だ。
(画像は9月17日記事より)★★★★★例年と変わることなく2021年もグーグルはコアアップデートを実施した。大きなものは次の2つだ:
正直に言うと、コアアップデートに関してはもはや過食気味で特筆すべきことはない。
あえて触れるとすれば、ちょっと異例だったのは6月と7月のコアアップデートは2部構成だった点だ。すべての更新を一度に展開することができず、2回に分けての実施になった。コアアップデートには付きものの比較的大きな変動が2か月連続で発生した形だ。とはいえ、今年のコア アップデートはどれもウェブ担当者を震撼させるほどの大変動を起こさなかった。
もっとも、ウェブ担当者としてやるべきことは、コアアップデートがあろうがなかろうが、変動が大きかろうが小さかろうが変わらない ―― E-A-T、つまり「専門性・権威性・信頼性」を備えた高品質なコンテンツを提供することだ。
★★★★☆グーグルによれば、昨年(2020年)は、検索を行うユーザーの99%以上がスパムの表示から解放されたと推定されるそうだ。ほかにも次のような成果を報告している:
検索スパム排除への精力的な取り組みは2021年も続いた。スパム対策に特化したアルゴリズム更新を、公表したものだけでも3回実施した:
しかしながら、グーグルのスパム対策まだ手ぬるいとサイバーエージェントの木村氏は指摘している。と同時に、過去の自分の(誇れない)経験も踏まえて、有料リンクの危険性を切実に諭している。
スパムの完全な撲滅はグーグルといえど至難の技だろう。それでも今年もさらなる成果をあげていたことを期待したい。2022年のどこかの時点で結果報告してくれるはずだ。
(画像は3月5日記事より)★★★★☆ここまでに、次の3つのアップデートを取り上げた:
ほかにも次のアップデートの実施をグーグルは公表している。
筆者注: 12月の商品レビューに関するアップデートとローカル検索アップデートについてはこのコラムではまだ紹介していないグーグルは、実施した検索アルゴリズムアップデートをすべて公表するわけではない。検索結果に影響を与える度合いが大きかったり、サイト側の準備が必要だったりするものだけを基本的には伝える。小さなアップデートは頻繁に実施し、それらは公表しないのが常だ。
「小さい」とはいえ、今年に限っては公表されなかったとしても順位変動を起こすアップデートが多かったようだ。Semrush(SEMラッシュ)は、次のような調査データを発表した:
昨年よりも今年のほうが、目立つ順位変動が起きた日が格段に多かったことをデータが示している。さて2022年はどうなるだろうか?
(画像は10月29日記事より)★★★☆☆今年は、次の3つの調査データがこのコラムの読者に好評だった。
実際の調査データからはさまざまな実情が読み取れるし、推測ができる。
「20代のZ世代は、検索エンジンを使わずにソーシャルネットワークで検索する」というのは必ずしも正しくなかったようだ。ソーシャルネットワークを使いつつ検索エンジンも使い、ソーシャルネットワーク利用が検索エンジン利用を後押ししている事実が判明した。
「若者の集客にSEOは向かない」という考えは改めておくほうが良さそうだ。
(画像は10月15日記事より)検索結果ページのクリック率をみると、日本における1位のCTRは、調査対象の主要5か国中インドに続いて2番目に高く13.94%だった。この点では、検索結果1位は、検索トラフィックに与えるインパクトがやはり大きい。
ところが、順位が下がるにつれてのCTRの低下は緩やかで、17位のCTRは、5か国のなかで最も高かった。この傾向においては、何が何でも1位を取らなくてもよくて、下位でも検索トラフィックをそれなりに獲得できるとも言える。
(画像は11月26日記事より)モバイル検索とPC検索に目を向けると、4分の3の検索が日本ではスマートフォンから行われている。業種やトピックによって差はあれど、スマホ対応は必須だ(今さら言うまでもないが)。単にスマホ対応するだけでなく、スマホユーザーに合わせたコンテンツ作りや見せ方がますます重要になってくる。
(画像は3月19日記事より)★★★★★SEOにはコンテンツが重要だ。負け劣らず重要なのは技術的な知識だと筆者は強調したい。検索エンジンと相性がいいサイトを構築するにはテクニカルSEOにも精通しておきたい。
テクニカルSEO関して今年このコラムで取り上げたトピックのなかでは、特に次を再確認しておきたい。
★★★★★サイト管理者から寄せられた質問にグーグルのジョン・ミューラー氏が動画で解説するYouTubeチャンネル「#AskGooglebot(アスク グーグルボット)」がある。とりわけSEO初級者を対象にしている。
このコラムでは、次のQ&Aを取り上げた:
site:
検索で全ページが結果に出てこないのはなぜ?SEO上級者であっても知らなかった情報があるかもしれない。自信をもって答えられない質問がありそうだったら、ミューラー氏の解説を確認しておこう。
★★★★☆グーグルは、Search Console の改良を着実に続けている。
SEO上級者に嬉しい改良としては次の2つがある:
どちらもデータ分析の効率化に役立つ。
(画像は5月7日記事より)一方SEO初級者向けにはSearch Console Insightsという新しいツールをグーグルは提供した。この新ツールは、
の2つを連携して、重要な指標をわかりやすくレポートしてくれる解析ツールだ。
具体的には次のようなデータを提供する:
データ分析に詳しくないため「Googleアナリティクスも、Search Consoleも、データがたくさんあって難しすぎる!」と感じていた人にも優しい「データ分析入門」ツールだといえる。
(画像は7月2日記事より)グーグルは、Search Consoleの外観と操作性を今後数か月にわたって改良していくことを予告している。2022年も、Search Consoleの新機能に注目だ。
★★★★☆グーグルの金谷氏とあんな氏は2021年もオフィスアワーをほぼ毎月開催し、我々からの質問に1つ1つ回答してくれた。
念のために補足しておくと、「ウェブマスター オフィスアワー」とは、グーグル社員が登場して、一般のウェブマスターからのサイト運営に関する質問に回答してくれる動画プログラムだ。
今は、検索に加えてアドセンス(AdSense)やアドモブ(AdMob)も扱うようになり、名称も次のように変更した:
それでも質問の大半は依然として検索関連だ。2021年より前の分も含めた録画のプレイリストはこちらだ。
グーグル社員に直接聞きたいことがあれば質問フォームから送っておこう。来年早々に回答してもらえるだろう。
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