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連載:メタバース・ビジネス・インサイト
フェイスブックが仮想3次元空間「メタバース」構築に躍起だ。総額100億ドル(1兆円)を投資するとし、社名も「メタ(Meta)」へと変更。手始めとして、同社は2021年9月、バーチャルリアリティ(VR)機器「Oqulus Quest2」のビジネス会議用ソフト「Horizon Workrooms」を公開した。バーチャル会議室に参加者が分身のアバターとして集い、バーチャルなコミュニケーションを図るためのツールだ。だが、このソフトの有用性や、同社がその先に見据える「メタバース」の将来性をめぐっては賛否両論うずまいている。ミドル世代の大半にとっては、フェイスブックの打ち出す世界は、まだ異次元の遠い世界といったところ。では、将来コアユーザーになり得る若い世代には受け入れられるのか。30~40代の編集部スタッフだけでなく、Z世代の価値観を伝え続けるAMF社長の椎木里佳さんにもVRとWorkroomsに触れてもらい、実感を聞いてみた。
企画:林 裕人、執筆:漆原次郎、構成:松尾慎司、写真:大参久人
企画:林 裕人、執筆:漆原次郎、構成:松尾慎司、写真:大参久人
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取材に応じてくれたのは1997年生まれの椎木里佳さん。中学3年のときマーケティング企業AMFを設立し、以後100名程の女子中高生からなる「JCJK調査隊」を率いて、ビジネスパートナーたちとビジネス会議を含むコミュニケーションを重ねてきた。 Oculus Quest 2のようなVRマシンに触れたのは、「前に友人の家でゲームをしたとき以来」と椎木さんは言う。もちろんそんな彼女も、ビジネス会議では、以前は直接対面やSkypeがメインだった。コロナ禍以降はZoomミーティングやGoogle Meetなどを使うことが当たり前のようになっているそうだ。 Horizon Workroomsは取材前にあらかじめアバターをつくっておいてもらうなど、少し事前に触れてもらった。この新たなビジネス会議ツールは、日常的な仕事に取り入れられそうだろうか。「率直な気持ちとしては、面倒かな、と。今回も、以前ゲームしたときもそうでしたが、ヘッドマウントディスプレイの装着がけっこう大変に感じます。超ヒマぐらいなときでないと、やるのはキツいかなと。仕事で日常づかいとなると、“重ため”だなって感じそうです」 椎木さんは「そもそも軽量化や小型化がないと、外に持ち歩くのは難しい」と物理的な「重さ」も気にする。Oculus Quest 2の重量は503グラム。先代の571グラムより軽量にはなったものの、それでも500ミリリットルのペットボトル飲料を前頭部に付けているようなものだ。 ほかにも、女性視点での使い心地の印象も話す。「髪が乱れちゃいますよね。おでこの化粧も付いちゃう。外観やデザインが変わっていくことが重要だと思います。VR装置で“盛れる”かわいさがあればいいねってなるかもしれません」 アバターの設定についてはどうだろう。Horizon Workroomsで会議参加者の分身となるアバターは、Oculus Quest 2で“100京”通りのカスタマイズができると謳われているがこれについても課題を指摘する。「どうせならVRならではの強みが活かされるほうがいいかなと思いました。アバターを使うんだったら、自分とまったく違うものにしたいなと。ハロウィンみたく、萌え美少女とか、宇宙人とか、犬とかでもいいと思います。Zoomでは部屋の背景をみんながらっと変えて、それが話のネタになってツッコミ入れたりもできますよね。でも、Workroomのアバターだと、みなさん素の自分に近い格好なので、そこでツッコミを入れると傷つけちゃうこともありそうです。素の自分に近い格好をVRのアバターで見せる意味ってなんなのでしょうか」 椎木さんが求めるのは、リアルな姿とは逆にリアルから遠ざかるほうだった。そのほうが、盛り上がるとも言う。【次ページ】致命的な問題は「スマホを使えない」こと一覧へ
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